ひとが好き

私「先生こんにちはー!」(いつも元気な挨拶)
変態先生「はい、こんにちは」(いつも淡々と冷静)
私「よいしょっと」(荷物置きにバッグを置く)
変態先生「よいしょっと」

先生、そこは繰り返さなくていいよ。

退院後から2週間ごとに通っていた形成外科(変態先生)が
今週で一段落しました。2週間ごと3回に分けて注射針をエキスパンダーに刺して
生理食塩水を50ccずつ入れていたのですが今週でトータルで250cc(先生が目処をつけていた量)に達したため、このあと数ヶ月はこのまま大胸筋や皮膚が落ち着くまで普通に過ごします。

変態先生「で、持ってきた?」
私「へ?」
変態先生「磁石」
私「!!!あ、忘れた!!!」
変態先生「あ、忘れちゃったの。じゃここにあるの使いましょう・笑」
私「すみませーんっっ」
変態先生「1回も使わないまま終わるね」
私「いやいや、これまで2回はちゃんと持ってきてましたよ。今日だけ忘れたの」
変態先生「あれ?そうだっけ?ふふふ」

おっちょこちょいキャラに思われてる。それか誰かと間違えてる。

注水の時に、針を刺す場所を特定するのに、エキスパンダーについている金属に反応する磁石をあてます。
退院する時に自分の磁石をもらえるのですが(あと金属が体に入っているので空港で金属探知機を通る時に提示できるカードももらいます)通院が慣れてくると持ち物に気を留めなくなってしまって忘れ物発生。でも笑ってくれたから、いっか。

250ccは、エキスパンダーのふくらまし加減としてはとっても小さい(=わたしのもとの乳房がとっても小さい)サイズですが、いまの見た目はパツーンッッ!!と、ツーーーンッッと(2回言った)大きくて、実際の乳房の大きさよりだいぶ大きいです。これは、皮膚にゆとりがある方がインプラント手術の時に出来上がりが良いため、大きめにエキスパンダーをふくらますためだそうです。

変態先生「(注水が終わって)だいぶ大きくなりましたよ」
私「なりましたねー。でも、もとが小さいですけどね」
変態先生「そうだね」

大きな胸だとエキスパンダーに注入する水の量も断然増えるし慣れるのに時間もかかるし、圧迫感がすごいそう。だから小さいことはこの場合、褒め言葉。(であると信じてる。)

手術をしていない側(健側)との高さをそろえるためにいつも使っているユニクロのブラトップの内側に、
健側だけ2枚もパッドを入れて調整しています。ちょっとの間だけ、豊満ボディーを味わっておきます。

変態先生は普段あまり感情を表さず淡々としていますが、笑わせるとにっこり微笑むので、いかに笑わせるかが入院中からの課題。

入院中、歩き回れるようになったので病院1階のカフェでPCを開いていろいろ仕事を片付けていたら(そこしかWiFiがつながらないから)変態先生の回診を1度逃してしまって会えないことがありました。脇腹に挿入されている2本のドレーンのうち1本をその回診で抜いてもらえたかも!?というタイミングだったので「ああ、やってしまった!抜いてもらえなかった!」とがっかりましたが、排液が基準以下の量まで減らないとドレーンは抜いてもらえず、減ったかと思われた排液がその日はまた少し増えていたので、結局は変態先生に会えなくても大丈夫だったことがあとからわかりました。

[ドレーン]
*術後、体内に溜まる排液を外に排出させる管のこと
*1本は大胸筋の下、1本は皮下に挿入されていました
*一般的に大胸筋下の排液の方が皮下より多いようです
*2本のドレーンが完全に抜けたら、抜けた翌日が退院日となります
*それぞれのドレーンにバッグがついていて、そこに液がたまります
*毎朝、看護師さんが量を確認します
*首からかけるポシェットが配布され、それにバッグを入れて歩き回れます

その翌日に変態先生が回診にやって来たときのこと。

変態先生「こんにちは」
私「あ!先生!お久しぶりです!」(他の先生が代わりに回ってきたりもしてたから)
変態先生「お久しぶりじゃないよー。昨日来たのにいなかったじゃない・笑」
私「えええーー!!だっていつ来るかわからなかったから!!」
(回診は先生の外来診察や手術の合間に行われるので不定期で不意打ちなのです)
変態先生「ドレーン抜こうかと思ってたのに」
私「あー、残念。でもまたちょっと増えてたから」
変態先生「そうみたいだね。」
私「だから会えなくても大丈夫でした」
変態先生「ま、そうね」
私「そうなるようになってたんですよ」
変態先生「うん」(素直だ)

きみたち友達か。

その翌日、形成外科の別の先生に皮下の1本のドレーンを抜いてもらい、さらに翌日、乳腺外科のブーブ先生の回診の時に残りの大胸筋の1本が抜けました。

ブーブ先生「(6人部屋のカーテンの隙間から)サカイさーん」
私「あ!先生こんにちは!」(いつも元気に挨拶)
ブーブ先生「ドレーン抜きましょうか」(=「明日退院ですよ」)
私「えーー!!!!やったーーー!!!」(6人部屋に響く)

その日はなんとなく2本目のドレーンを抜いてもらえる予感がしていたので部屋で先生の回診を待ち構えていて大正解!ドレーン抜くのはちょっと痛いので好きじゃないけど退院日決定の喜びが勝り、感動の叫び。

病院でもいつも元気なわたし。だって本質は変わらないから。

どんな大変なことも、大変な時期も、誰かがそばにいて支えてくれ、笑いが起き、前に道がつながり、乗り越えられる。仲良しになって、笑い合える。楽しい会話の思い出が、辛かった記憶を塗り替えてくれる。ひとりじゃない。それが強さを、希望を与えてくれる。

ひとが好き。

あの2ヵ月前の入院期間を思い出しながら、そう改めて感じる今日この頃。
 
 
 
 
 

広告