No One Is Alone

手術の時間はだいたい午後2時くらいと聞いていたので、待ち合い室で待機する家族にもその時間を伝えてありました。後ろ倒しになることはあっても、めったに早まることはないと聞いていたのに。

なのに!

手術前の準備として点滴を打ってもらっていたら、別の看護師さんが「手術室に12時40分に来て下さい」と伝えに来ました。

私「え!?早まったんですか!」
看護師さん「はい」
私「いま何時ですか!?」
看護師さん「12時……もうすぐ30分です」
私「えっ!!ここで家族に電話してもいいですか!?!?」
(病室内は基本的に電話での会話NG)
看護師さん「はい、どうぞ!」

で、親に電話して、時間が早まったこと、すぐに家を出ても手術前には到着しないから慌てないで事故のないようにゆっくり来て欲しいこと、手術前に会えないことになってしまったけど私は大丈夫だということを伝え、次に、両親と目と鼻の先にいた旦那さんにも電話して同じことを伝える。(二度手間だけど、両親は英語が話せないから伝えられない)

旦那「うん、ママも目の前でこっちに向ってなんか言ってる。わかった。」
私「大丈夫だからね。じゃあとでね。Love you.」
旦那「がんばってね。あとでね。Love you too.」

バタバタな手術前。

実はそれより前に、手術側とは反対側の腕に点滴をするように指示があったのに、看護師さんが点滴を打つ腕を間違えて、手術側に打ってしまい、正しい方に打ち直してもらっていたこともあり、その点滴の打ち直しの最中に時間が早まったことがわかったので、さらにバタバタ。

こういうもんなんだなー、人生って。

と、バタバタとは裏腹に、まるでひとごとのように、呼吸も心も落ち着いていて、自分のまわりだけ時間がスローモーションに進んでくような感覚がしました。

手術室へは看護師さんの付き添いのもと、歩いて行きます。なんだかその間も、看護師さんと世間話をしていて(看護師さん「英語話せるのいいですねー」私「海外ドラマとかアメリカの料理番組ばっかり観て耳を慣らしましたー」とか)本当にこれから手術を受けるの?と、信じられない不思議な感覚。

手術室の手前で看護師さんと改めて名前を確認し、手術の内容を確認している間、「ああ、家族と会えなかったな」と、ちょっとだけ悲しくなり、涙をこらえる。

シャワーキャップのような薄い帽子を渡され、かぶってからさらに奥の手術室へ。宇宙船の中のようなシルバーなドアがいくつもある廊下を通って促された自分の手術室へ入りました。

まわりを見る余裕もないまま履物を脱いで手術台の上に自分で座って、体の向きを変えて横になり、あとはされるがまま。ブランケットをかけられて、看護師さんに手術着を脱がしてもらって、腕の位置など体勢も整えてもらって。たくさんのひとたちがまわりを囲んでいるような気配は感じました。

全身麻酔をかけて行う手術ですが、前日に受けた麻酔の説明で「呼吸を確保する管を通す時に歯に損傷を与える可能性がある」とあり、実は乳歯がまだ1本だけ残っている私は(これ、めずらしいらしい)その歯がなくなってしまうと、新しい永久歯は生えないので歯抜けになってしまう!と、マウスピースをつけて手術をして良いか事前に相談してありました。(普段は、寝てるときの歯ぎしり防止のために着用しています)

でも、手術時間の変更でバタバタしていたため病室から自分のマウスピースを持ってくるのを忘れたので看護師さんに頼んで持ってきてもらい、無事に麻酔前に間に合いました。

執刀医たち「マウスピースしたいんだって?」
私「はい、まだ乳歯が1本あって、抜けたら困るので守るためにいいですか?」
執刀医たち「え!乳歯!!どれ!どこ!」
私「ここですーここ、ここー」

みんな興味津々。なんだこの和気あいあいさは。

マウスピースをつけたあと、麻酔のマスクをつけられ、点滴も始まり、もうなにもすることもないので目を閉じて深く呼吸をする。
ん?ELTの初期の曲がかかっているな…….
ブーブ先生の声がするな…….
ブーブ先生が他の先生から
「お前こうやって並ぶとやっぱり背高いな。何センチ?」と聞かれて
「185(?)センチです」
「スポーツ何やってたんだっけ」
「バスケです」って答えてるな…….
あー、先生バスケっぽいな…….
でもなんで今頃ELTの、しかもあんな古い曲なんだろう…….

そんなことをぼんやり考えているうちに、家族と会えなかったことも、どんどん手術への時間が進んでいくことも気にする間もないまま、たくさんの人に支えられていることに心が落ち着いているのを感じ、ブーブ先生からの「目が覚めたら終わってますからねー」の声がして、2秒で意識が遠のきました。

バタバタな割には、ちゃんと冷静に物事が進んでいくんだな。病院って、そんな場所のような気がします。

一瞬だけ短い夢を見たような気がして、名前を呼ばれているのに気づき、麻酔から目が覚めました。

その間、3時間もかかってたなんて、信じられない。目を開けたらまだ手術室で、変態先生の姿が見えました。(前半はブーブ先生はじめ乳腺外科の医師たちが担当で、後半は形成外科の変態先生チーム担当だから)

変態先生「終わりましたよ」

声にならない声で”ありがとうございました”と口を動かして、うなづいて感謝を伝えました。

いま元気だから、こうやって明るく思い出話にできる。有り難いこと。そのことに感謝して、関わってくれているたくさんの人たち全員への感謝を毎日感じています。有り難くて涙が出ることもまだあります。

みんな、ひとりじゃない。大丈夫。
すべての出会いと経験がこれまでも、これからも大きな支えです

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今回のブログタイトルはドラマ『GLEE』の挿入歌よりヒントを得て。
英文歌詞はこちら>> http://glee.wikia.com/wiki/No_One_Is_Alone

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